DVD・ホームシアター

騙されもしない「ダメ映画」と「宣伝」と「8mm」

ジェネオン・エンタテインメントから
スナッフ/SNUFFと言う映画が発売される。
クリスマスシーズンに凄くミスマッチな作品だ。
もう既に知れ渡った事だが、当然本物の「SNUFF」では無く
凄く出来の悪い映画の最後に追加撮影で作った
模造の殺人部分を足し、製作者自らいかがわしくも
「本物?いやニセモノ?!」とキャンペーンをして
それなりにヒットしてしまった作品だ。
70-80年代のキワモノ&バッタモノ映画の宣伝は何でもあり
(今ならJARO大忙し)だったので、劇中に出もしない
「ジョギリ・ショック」とかやって悪名を轟かせた映画もある。

自分も『宣伝』という仕事をしていて、今はなにかとうるさく
チェックも厳しい。当然先のような事はもってのほかだ。
が、「どうやっても売れないもの」を
「どうやったら売れる」ものに仕上げる為に
大の大人が知恵をしぼっている事は共感できる部分もある。
(この辺りの映画は、江戸木純氏の本などで凄まじく面白く書いてある)
まぁ、映画の宣伝は今でも「海洋冒険映画」を
「戦地にかり出された少年の感動もの」にしたり
コメディを感動作みたいに宣伝したりと
あんまり本質は変わって無いかもしれない。


話はちょっと変わって、これとは別のちゃんとした
「劇映画」で「8mm」という映画がある。
SE7ENで有名になった
アンドリュー・ケビンウォーカー脚本のダークな映画だ。
監督は売れ線じゃないと良い仕事するジョエル・シューマッカー。
主演はニコラス・ケイジ、共演はホアキン・フェニックス。
世間的評価はあまり高くない作品だが
私はとても興味深くちょっと不謹慎かもしれないが楽しめた。

<ここから下は作品の内容に触れています。ネタバレあり>

ある探偵(ケイジ)が、富豪の未亡人から
夫の遺品を見てくれと頼まれる。
それは少女が殺害される映像が映っている8mmフィルムだった。
未亡人はその少女が生きているのかを調べてくれと言う。
探偵はポルノショップの店員(フェニックス)と知り合い
アメリカの裏の世界に巻き込まれて行く。

バンドの夢は敗れ、生活の為ポルノショップで働く男が
裏マーケットの市場に探偵を連れてくる所は
まさに「フリマ」なのだが、それもその内インターネットで…
という台詞がまさに「現在」を示している。
しかしその中にも嗜好やポリシーがあり「SNUFF」は禁句だ。

ポルノを芸術の場としてカリスマとあがめられている監督。
ハリウッド女優の夢やぶれてその世界に入る女優の卵たち。
「見たいから」というだけで、金さえつめは「オーダー出来る」者と
それを卑しくもビジネスとして引き受ける者。
殺人マシーンを演じるのは、厳格なカトリックの母親を持つ普通の男。

こんな連中が交差し結局
「フィルムの中の少女は実在し、殺人も行われた」という最悪の結末に
探偵は少女の母親に「行った者たちに罰を下していいか」と聞く。
そして罰は下された…。



SE7ENが、犯人は自分の「大罪」を完結させる為に主人公の妻を殺し
結果主人公に撃たれそれを見事完結させるのだが
これは「悪の勝利」で終わるなんとも言いがたい結末だった。
「8mm」はあくまで主役は巻き込まれたたけで
自分の正義と母親への情で悪に対して制裁を下す。
結果母親の復讐を代行し、感謝の手紙をもらう。

一見事件も解決されチャンチャンと言えなくも無いが
これからも重いものを背負って
家族と共に生きて行かなければならない探偵の
開けてはならないものを見た苦悩がにじみ出ている。


フィンチャーほど「世界観を作り混む」感は薄いが
下手なこけおどしをせず、淡々と進めて行くシューマカーの手際がいい。
レンタルDVDだったが、コメンタリーも入っていて
監督自らリサーチした話や、裏情報的な部分も垣間見え興味深い。
まぁ、後味も良くなくとても万人には薦められないが。

それにしてもアンドリュー・ケビンウォーカーの脚本の主人公は
こうも業を背負わされるのだろう。
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by suzuki-ri | 2005-10-27 11:35 | DVD・ホームシアター | Trackback(3) | Comments(0)

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