●Netflixで10月24日から配信される前に、限定的に劇場公開された
『ハートロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』などポリティカルな力作を作り続けている
キャスリン・ビグローの最新作『ハウス・オブ・ダイナマイト』を見てきた。
まだ、配信などもこれからなので具体的なネタバレは避けるが、私の短い雑感などを。
どの国から発射されたかもわからないICBMが北米に向かって飛んでくる。それも約20分後に。
ホワイトハウスや軍部、そしてイベントに参加していた大統領はどう行動するか…を
3つの視点で描く極短編的な作品。アクションや暴力シーンは皆無なのに
恐ろしい緊張感を観客にぶつけてくる。
本作の一幕の主役は『ミッション・インポッシブル』シリーズなどで有名な
レベッカ・ファーガソンが軍上層部との連絡担当を演じているが
何気ない早朝出勤から予期しない事態に憔悴しながらも、冷静に対応続ける姿が素晴らしいが
本作の展開は『ミッション・インポッシブル/ファイナル・レコニング』で
エンティティーが発動させた軍事危機を止めるのに、イーサ・ンハントなどは
当然リアルな世界には居ないことをぶつけてくるので
本作は我々が安心して日常生活の危機を楽しめる映画…というものが壊れる恐怖を
シンプルに味わう…なんて生やさしいものでなく投げつけてくる。
●キャストは『チェルノブイリ』でレガソフを演じたジャレッド・ハリス
『オッペンハイマー』ジェイソン・クラークなどは、核を扱った作品に出ていたのもあり
本作もそのキャラクターをうまく反映した演技を見せてくれるが
それ事態も終始見ていて不安になる展開につなげている。
あわせて大統領はイドリス・エルバが演じているのもあり
監督が同じ女性監督ミミ・レダー『ディープ・インパクト』から
娯楽要素を抜き取ったような作品でもあるが
『ディープ…』は大災害でもなんとか最後は人類の一部は助かって再建を…と希望が見えたが
本作は明確には描かないものの(本作は結末パートを見せない!)この先には
まったく不安しか残っていないのと、それすら知らない大勢の一般市民がいること
そして大多数の観客はその側なのだと絶望に包まれる。
●本作は配信の映画だが、エンドクレジットでDolby Atmosの表記もあり
見た劇場(イオンシネマ浦和美園)はAtmos対応ではないが、オペレーションルームに流れるアラートなどが
絶妙な位置関係で鳴ってくるので、ヘタな4dxなどより観客にその場を体感される装置として
劇場公開にとても向いている作品だったと実感する。
私はNetflixが、難しい題材などの作品を作ることへは良いことだと思うが
本作のような映画はやはり劇場で、それも見たい方がある程度生活の都合をつければ
良い環境で見られるようにしてほしい。
いくら家で大きなTVなどがあっても、よほどのシステムでないかぎり劇場には敵わない。
特に本作は3回続く地獄の繰り返しを逃げ出せない環境で見ることに意味がある。
今回もあまり大きな規模でない公開なのが残念で、私はそれでも首都圏で劇場や時間が選べたが
そうでない方も多いのだから。
●まだ見ていない方も多いので、この程度に今回はするが私は今のところ
今年のベスト級だった。だだし見ていてビグローの『デトロイト』の時のような
体調が不安になるくらいだったので、干渉されるか方は
メンタルや体調がある程度良い時がいいだろう。
しかし我々はタイトルに示した、自分を守ろうと弾丸(火薬)で充満した家に住んでいる。
そしてもし弾が飛んできたら、それを弾丸で弾く…という
まったくコントススにもならない不確実な世界で、かろうじて今の瞬間も生きているのだと実感して
再見したいがするのには体力が必要……。
by suzuki-ri
| 2025-10-14 09:42
| 映画
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