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DVD・ホームシアター

兵士が最後に必ずいう言葉 -ワンス・アンド・フォーエバー-

2002年に封切られた本作。この年は2001年から
アメリカでたて続けて公開された戦争をあつかった映画が
日本でも2ヵ月に1回くらいの割合で公開された。
今週末の土曜洋画劇場で地上波発登場にあわせて。
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     We Were Soldiers邦題:ワンス・アンド・フォーエバー

[秀作だと思う。が…]
本作を見たのは初夏の頃。この年は正月明けから「地獄の黙示録-特別版-」
が始まり、アクション映画の範疇かもしれないが「エネミー・ライン」が続き
春に「ブラックホーク・ダウン」夏には「トータル・フィアーズ」「ウインドトーカーズ」
秋には「ジャスティス(ハーツ・ウォー)」冬に「K-19」とたて続け。
その中で本作はオノ・ヨーコの賛辞もあり、やや話題にはなったが
興行的にはメル・ギブソン作品としては静かに終わった。

結果から言えば、この年封切られた戦争ものの中では
一番「真っ当」な作品だったと思う。実際劇場では涙した。
ベトナム戦初期の北ベトナム交戦「イア・ドランの3日間の戦い」と
それを待つ家族たちを交互に描く手法も悪く無い。
夫たちが戦地へ行く前の描写もしっかりしている。
夜に1人で家を出たメル・ギブソンに1人、又1人と
集まってくるシーンは静かな場面だが、無言の演技が素晴らしい。
そして基地に続々を集まる兵士を乗せたバスの列に戦慄をおぼえる。

戦地に場面が変わり、最初に出撃する場面は
大量のヘリが飛び立ちイア・ドランまでの描写も
比較的静かに演出。次々にヘリが降下する場面の撮影もいい。
しかし一部CG場面の稚拙さが出てしまうのが残念。
監督のランドル・ウォレスは人物描写はなかなかいいのを見せるが
画面構成がやや単調なので、同じ場面が2、3度くり返されるように
見えてしまうのが戦闘シーンが長いという印象になる。

それでも中盤にある「ブロークンアロー」攻撃場面の
物量と凄まじさは圧倒された。劇場で初見の時は
ただ茫然と見るばかり。空からの攻撃に無力に殺りくされるベトナム兵士と
誤爆により米兵士までも巻き込んだナパームの恐ろしさは
出色の出来だ。陳腐な表現になってしまうが
本当に生き地獄を見せつける。火傷した兵士を運ぶ場面は
目をそむけるほどの恐ろしさだ。

役者はメル意外も、古参の叩き上げ兵士にサム・エリオット。
報道兵であり途中から銃をとるバリー.ペッパー。
ヘリのパイロットのグレック・ギニアともいい演技だ。
特にバリーの戦地から帰ってきてタイプを打つ場面と
グレックの夜間にヘリの輸送から帰ってきての
現実の厳しさから苛立つのが記憶に残る。
待つ妻を演じるマディーン・ストゥも素晴らしい。

終盤、メルが背中を震わせるシーン。
あまりの犠牲の多さに涙するのだが
映すのは後ろからのややひいた画なのだが
指揮官としての重みを静かに表現している。


本作は、闘った相手にも家族や恋人がいたという
良く考えれば当たり前の事だが、今までの戦争ものでは
あまり取り上げられなかった事が描かれている。
ややあざといと思う人もいるかもしれないが
北ベトナム兵の女性の元に、戦死した相手の遺品を送る場面は胸につまる。
そして、宣伝文句にもあった「兵士が最後にいう言葉は?」
は「家族に、恋人に…」との台詞はシンプルにくるものがあった。

非常にまとまりもよ人間ドラマもしっかりした
良く出来た映画で反戦の材料としてもいいのだが
その満遍なく気を配った結果、この作品ならではの部分が
いまいち弱いのかもしれない。
あとやっぱりこの年は戦争をあつかう映画が多すぎた。
別格の黙示録。近代戦の傑作BHD。そして本作の3本
それぞれ別の年ならもっとじっくり評価されたかも。
しかし本作が力作なのは変わらないが。


[DVDとして]
東宝から2枚組のが発売され、特典も北米盤より多く
値段が高い事以外はいい作りだ。
音声は英語・吹き替えともドルビーデジタル5.1EX。
再生すると部屋のあらゆる所で銃声がし
ヘリが頭上を飛び交い、大爆撃の地響きまで
かなり派手にサラウンドを使っている。

戦争映画の音響ではプライベートライアンが教科書的かもしれないが
本作は弾道の繋がりや移動感より
四方を囲まれてあちこちで銃声がしているという感じ。
銃声がちょっと変わっていて「ドリュドリュッ」と
楽器みたいな音がする。実際の銃声は知らないのだが
最近の乾いた感じのとは一寸違う。

画面はやや白っぽく、冷たい明るさに見える。
白がやや飛んだ感じ。60F収録。
本作の批評で「ベトナムに見えない」というのは
この色調のせいもあると思う。
邪道かもしれないが、我が家で見る時
色温度を他より若干下げると、劇場で見た時に
近い雰囲気でみれるのでそうしている。


それにしても邦題の「ワンス・アンド・フォーエバー」って…
We Were Soldiersもそのままだと、厳しいかもしれないが
なんだか分からないタイトル。
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by suzuki-ri | 2005-09-21 09:39 | DVD・ホームシアター | Comments(0)

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