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DVD・ホームシアター

「俺に聞いているのか?」-タクシードライバー-

マーティン・スコセッシ初期の傑作であり
デ・ニーロをはじめ、ジョディ・フォスター
ハーベィ・カイテルの名演。
薄汚れた裏路地と、サックス響くスコア。
何度も見た映画がSUPERBITで再発売。
「俺に聞いているのか?」-タクシードライバー-_b0020749_11305967.jpg

         タクシードライバー SUPERBIT

[LDからSUPERBIT-DVDへ]
これを最初に見たのは高校生の時であまり早く無い。
丁度ベトナム戦争ものが多数封切られた頃で、
その関連作品として見た。ベトナム帰還兵が主人公となっているが
あまりその事が劇中には出ず
とにかく「自己中心的」な主人公の行動が新鮮だった。

薄汚れたニューヨークの路地でしがないタクシー運転手の主人公。
街は若い売春婦や、それをかこっているマフィアやヒモ等
ろくでなしがうごめいている。
眠れない夜やポルノ映画を見に行くが、性的に満足させる為ではない。

主人公は2人の女性と出会う。
1人は若い少女の娼婦。もう1人は選挙運動の仕事をしている女性。
片方には父親的な愛情を。片方には大人のガールフレンドとして
付合いはじめる。が、両方から距離をあけられた時

「何かが違う。世の中がおかしい。それなら自分が変える」

と思い始め、選挙中の政治家を暗殺しようと企む。
鈍った身体を鍛え、腕に拳銃をしのばせ
ダムダム弾を作る。モヒカンにサングラスという異様な出立ちだ。
しかし、暗殺に失敗した彼はもう一つの問題
少女の娼婦を助ける為に、売春宿で向かう…。


心を病んだ主人公の行動が、デ・ニーロの演技と相まって
凄まじい狂気を見せてくれる。

夜のデートで、ポルノ映画へ行き彼女をすっかり怒らせてしまう。
しかし彼としては「高級なポルノ映画館」は、もてなした気持ちだった。
暗殺も彼としては「腐った世の中」を変える為だった。
娼婦をかこったヒモや客を皆殺しにしたのも彼女の為だった。
そして「暗殺者」になるはずだった彼は
娼婦を助けたヒーローとして、また普通の運転手に戻る。
そこへ「ポルノで怒らせた」彼女が客として乗ってきた。
彼女の艶っぽい眼差しに、彼は冷ややかな笑顔で返す。

このなんとも言えない終幕のあと
エンドクレジット中に一瞬、デ・ニーロがミラーを見る
狂気の顔に戻るシーンが怖い。

誰も頼んでいない。しかし行動せずにはいられない時の
モヤモヤした物が本当にフィルムに映っている。
その行動が例え狂気から来たものだとしても
本人は純粋な気持ちなのだ。



[VHS、LDからDVDとして]
最初に本作を見たのはレンタルビデオ。そして
低価格のVHSが発売されたので買うが、トリミングされ
画質もまぁこの時代だからしょうがないかくらいの物。
音声もモノラルでお世辞ににも良く無いが
その薄汚れた感じが合っていて、これはこれで良かった。

しかしその後「クライテリオン盤LD」を購入して愕然とする。
ビスタサイズのノートリ。画質の良さ。同じモノラルなのに
この音の違い!特典満載!!でビックリする。
時代がDVDになっても、これが1番だと思っていた。

SUPERBIT盤発売のニュースの時は「なんで!?」と思ったが
DVDになった画質と、DTS収録の音も興味があり購入。
結果、画質はややザラついた場面もあり
オープニングはゴミも沢山。
アレ?ハズレかな?!って思っていると
本編は安定した画質でゴミも目立たない。
元々綺麗に撮った絵ではないが、解像度も上がり
色の乗りも良くなった。フィルムぽさは
クライテリオン盤LDが上だったかもしれないが
やはり全体の画質は良くなっている。
音声はDTSになりBGMの鮮度が良くなった。
セリフ&モノローグも力強くなり
バックのSEから分離され聞き取りやすい。
銃の音は時代を感じるが、部屋での反響などが生々しい。

最近、古い作品がSUPERBITになるのが多いが
イージーライダーなんかも買ってみようかなんて気分になった。



[こぼれ話]
本作。10数年前に友人のVoodoo氏とリバイバルを見に行った事がある。
確か新宿の地下の映画館で、70年代のニューシネマ系のリバイバルの時だ。
2人とも、その時は既にビデオやLDで見ていたので
「劇場で見る」事にのみ楽しみにしていたが
嬉しい誤算があった。
1つは字幕。結構ビデオとは違った訳で
カイテルがデ・ニーロを追い返すシーンが
「種族へ帰れ!」となっていて大笑い。
そして、最後の殴り込みのシーンで
画面に赤や青のフィルターが!!全てモノクロにフィルターをかけた
ゴア度を押さえる為に処理された映像になっていた。
(あとから聞くと、劇場公開時もそうだったらしい)
意外な結果に大満足。ますますこの作品を好きになった。


「何かが違う。世の中がおかしい。それなら自分が変える」
これは最近でも、ファイト・クラブやマトリックスもその流れだろう。
後者は妙なSFに行ってしまったが、ファイト・クラブは
確実に現代のトラビスを描いた映画だと思っている(私の思い込み)
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by suzuki-ri | 2005-06-24 11:29 | DVD・ホームシアター | Comments(0)

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