●300人以上もの殺人をしたヘンリー・リー・ルーカスを描いた作品の『ヘンリー』が限定的に劇場で再上映される。
シネマート新宿、シネマート心斎橋、名古屋シネマテーク、シネモンドなどで公開される。
時間などはそれぞれの劇場などでご確認を。
●で、北米30周年盤Blu-rayを取り寄せてみた。すでに北米など海外では一度出ていたが
16:9サイズに引き伸ばされ、ノイズリダクションを強めにかけた甘い画質だった。
30周年盤はオリジナルのスタンダードサイズでの収録で、フィルムの粒子感もしっかり出ているタイプ。
いつものボケボケ画面で申し訳ないですが、タイトル文字などはシャープ。パッケージはリバーシブルになっているが、裏面のデザインは正直微妙。特典は満載だ。86年に公開されたものの、映画会社との作品内容で揉め(会社は普通のシリアルキラーのホラーにして欲しかった)数年オクラ入りになり限定的に公開された不運の作品。ブックレットも付いている。スタンダードサイズなので左右に黒帯が入る。このあとウェイトレスは……と、この映画は基本殺害シーンの多くの「事後」を見せ普通にホラー的な具体的な殺害場面は終盤以外はない。ただ、あまりの生々しさとエフェクトを少しかけた、その時の音声を流すことで「見たような」気持ちにさせる。ここが想像力を煽ってより恐ろしい。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」などでもいいバイプレイヤーの マイケル・ルーカーも若いのだが、このヘンリーという恐ろしい殺人鬼なのにこの人なりの妙な哲学を感じさせるところが魅力的でもあり恐ろしい。
●本作の描いたことの実際の事件は、ここで検索された方が良いと思うが 正直読むだけでイヤーな気分になることだろう(お勧めはしない)
ただ本作を私が見た頃。丁度似たような題材を扱ったPOPな映画があった。 タランティーノ原案・脚本、オリバー・ストーン監督「ナチュラル・ボーン・キラーズ」だが たまたま見る順番が私は「ヘンリー」が先だったので、妙に技巧に凝り過ぎた感じがなじめずに この「ヘンリー」の重さの方が私は好きだった。 ただ当時見た時はVHSでのレンタルだったと思うが、ビデオのトラッキングがうまく合わないまま見たので 逆により生々しく、スナッフフィルムのような危ない雰囲気さえあったが 今回のBlu-rayはフィルムのザラついた質感がよく出ていて素晴らしい仕上がりだ。 なんでもかんでも「高画質方向」にしなくてもいい作品もあるなと。
●ただ、本作はホラーなどに慣れている人も結構イヤーな気分になる作品だと思う。本当に最後までカタルシスや解決した感が全くない。 そして彼も不幸な境遇で育てられ、なぜか殺人まで犯したのになんのリハビリも無く世間に放たれてしまったという 理不尽さしか残らない突き放した作りだからだ。一瞬心通わせられた…と思いきや……なのが 背中に嫌な汗をかき「うーん……。しばらくは見るのはいいか……」と思いつつも 自分がダウナーな時に見てしまいがちな作品。
●日本国内盤Blu-rayも6/12に発売されるので、それに合わせた上映だろうが 今のところ北米盤と同じマスターなのかなどは不明。ただ上映はスタンダードサイズになるようなので おそらく…と思いたい。特典なども北米盤くらいあると嬉しいのだが。
[北米盤も日本のアマゾンで購入できる。6/12に発売される国内盤が北米と同じマスター&特典かは未確認]