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映画

「バーニング・オーシャン」は人類の贖罪の映画。

●「バーニング・オーシャン(原題:ディープウォーター・ホライズン)」は以前このブログでも
 北米盤UHDの事で書いたが、劇場で先週末に公開されたので見てきた。
 前半はセリフがメインの群像描写だが、後半はほぼ人災シーンなので日本語字幕なしで見ていた印象とあまり変わらず。
「バーニング・オーシャン」は人類の贖罪の映画。_b0020749_10123887.jpg
 本作は実際の事故なのでネタバレなどは基本意味がないのだが、念のため本編に触れるので
 予備知識なく見たい方はご注意を。


 この映画は見た人はわかるだろうが、基本ヒーロが存在しない。映画なりのディフォルメで
 作業の安全確認より、工程の遅れを取り戻そうとする会社幹部が悪役のポジションにいるが(ジョン・マルコビッチ)
 そこまで酷い扱いでもないし、こういう幹部は実際の職場でも責任は持つと行って急かすタイプはよく居そう。
 一応主役のマーク・ウォールバーグも事故の直接的に解決には活躍できるような規模ではないので、せいぜい避難の時に活躍するくらい。
 安全検査を重視するカート・ラッセルも、そこまで活躍はしないというか1人の人間が活躍できるような人災の規模ではないから。

 前半は比較的状況説明と人物紹介で、娯楽要素は「事故を予見させるための伏線」くらいで淡々と進む。
 しかし一旦事が進んだら最悪な状況への負の連鎖へ突き進む。
 この火災描写は本当に凄まじい。スローモーションどはせず爆速がとても早い感じがとても恐ろしい。
 (逆に、バックドラフトのようないい意味のケレンはない)


●本作は人類の自然に対する贖罪の作品だ。主人公はお土産で娘に恐竜の骨を持ち帰るというが
 その石油は地球の人類より先に地球にいた生物の「血」でもあり、それを一部の会社が莫大な利益を生むために握っている。
 そして一般の人もそれなしでは生活できず、意識なく消費をしている。
 当然、そのものを組み上げるにも敬意とルールがあるはずだ。それを無視したものに対しての罰であり
 映画の終盤ではなんとか助かった者たちが手を取り合い神への祈りを捧げる。
 そして主人公は恐竜の骨を娘に渡す約束を果たすが、ここで自分で最大限に取る事ができた英断も
 なんと小さな事だったのだろうと泣き崩れる。

 火災シーンで何度か炎の中に星条旗が映る場面がある。
 リアルさを言えば旗なんか真っ先に燃えているだろうが、そうでなはなく炎の中でも
 たなびく映像は象徴そのもの。「ゼア・ウィルビー・ブラッド」でもそうだったが
 アメリカは地球の血を吸い上げて発展した大国であり、その事をいつの日か忘れた時
 しっぺ返しが来ているのだと。オイルまみれで落ちてきて暴れ死ぬカモメもまさにそれだ。



●ピーター・バーク&マーク・ウォールバーグのコンビは絶好調だ。
 この作品のすぐ後に公開される(本作の公開が遅すぎたのだが)「パトリオット・デイ」も素晴らしい仕上がりだ。

 ただ「ローン・サバイバー」とあまりに映画のテンポ感や幕引きが似ているところ
 実録路線の見せ方が似すぎてはいるが。

 とにかくこの内容を2時間以内で完結に、余計な娯楽要素を盛りすぎない姿勢は素晴らしく
 個人的にはトニー・スコット亡き後、ピーター・バーグがこのポジションで信頼できる監督だ。




   
Commented by zippomin at 2017-04-25 04:17 x
はじめまして!納品で出かける移動中に見させていただいています。
私も先週の初日にユナイテッドシネマで「バーニング・オーシャン」観てきました。
既にUHDで鑑賞済みだったのですが、やっぱ映画館で観たかったし、割と近いもので行ってきました。
映画館だと、どうにも暗くて(海底のシーン)、家で再度鑑賞してみると、UHDがかなり明るく
見せてる気がしました。作業服の赤い色もかなり異なる印象です。*LGの有機ELでの鑑賞
また、通常ブルーレイと比べても冒頭の制作会社のクレジットの色味からして全然違うんですね。
同時に買った「バトルシップ」も、解像感はフツーなんですが、DTS:X音声が面白かったです。とにかく上方スピーカーから音が鳴り、細かい音のリアルさ、全体を音が包み込む絨毯爆撃仕様って感じです。
やたら多用されるレンズフレアや光沢感はHDRでよりリアルに表現されてました。
結局、一日中ピーター・バーグ劇場になってしまいました。
「ローン・サバイバー」以降の裏方に徹したサントラの使い方もいいコンビネーションだと思います。
Commented by suzuki-ri at 2017-04-25 10:08
zippominさん:コメントありがとうございます。
本作の公開は「美女と野獣」が重なって大きい劇場やATMOSの部屋は取られてしまって
やや劇場公開では不満の残るところもあるのですが
4K 有機ELだと発色とコントラスト、そして夜間の火災なので
海の質感なども違いそうですね。
「ローンサバイバー」もレンズフレアが緊張感を演出していましたし
本作の上映前に同じコンビの「パトリオット・デイ」の予告も上映されていて
「バーニング…」にもあった爆速の早い感じが緊張感ありました。
こちらも北米ではUHD出ているので楽しみです。
「バトルシップ」もいろいろ言われる作品ですが、あのゲームで映画作れのムチャ振りに
精一杯応えている楽しい作品だと思います。
そうですか。DTS:Xでのバリア張るシーンや、ミズーリの砲撃聞いてみたいです!

これからも宜しくお願いいたします!
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by suzuki-ri | 2017-04-24 10:40 | 映画 | Comments(2)

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