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DVD・ホームシアター

熱い兄弟愛と戦争 ーブラザー・フッドー

続々公開される韓国映画。本作は韓国での
興行記録を作った映画。半島の歴史の悲劇を描いている。

ブラザー・フッド
[ドラマは熱い。戦闘シーンは…]
この映画。日本では主役の2人の注目のわりに
大ヒットとは言えなかった。
朝鮮戦争の背景もあまり学んでいない人もいるため
「あぁ、また戦争映画ね…」という感じだったのかもしれない。

物語は2人の兄弟とその家族が朝鮮戦争に
巻き込まれた悲劇を描いている。
靴職人にジンテは家庭を支えながら
弟のジンソクに立派な大学に入って
家族の希望になってほしいと願っている
婚約者もでき貧しくも幸せな生活をしていたが
そこに朝鮮戦争がぼっ発。2人とも強制的に徴兵される。
兄は弟の帰還のため勲章を獲ようと戦争の鬼と化す。
弟はそんな兄の気持ちが分からずに違和感を覚えはじめる…

兄弟のドラマは観ていて気恥ずかしくなるくらいの
熱いものだが、これは国民性の違いかもしれない。
見た目は我々と変わらない人が、欧米人並の
大げさ(に見える)なコミュニケーションをとるからかもしれない。
兄役のチャン・ドンゴンは優しい兄から
厳しい兵士にかわる様が恐ろしく観ていて
同一人物に見えないくらい。弟のウォンビンは
爽やかな笑顔のまっすぐな青年を好演。

戦闘シーンは「プライベート・ライアン」並などと
言われたが、撮影方法などはまさに「まんま」だ。
手持ち感を出し過ぎでやや観にくいが
臨場感と悲惨さは本家を超えているかもしれない。
(この監督のシュリも手持ち感が強かった)
まさに「地獄の戦場」だ。血まみれになり
手足をふっ飛ばされ、顔は砕け、腑にウジがわき
投降した兵士を顔から火に叩き込み、
女子供までジェノサイド…と
アメリカの戦争映画を超える残酷さだ。
これは賛否あると思う。戦場の悲惨さは実際は
これ以上だと思うがあまりに観ていてつらい。
それと、描写はリアルで恐ろしいのだが
ややアクション描写が勝って「ワンマンアーミー」的な
活躍が違和感あった。


[DVDとして]
プレミアムエディションは2枚組で
本編と特典が別になっている、最近の大作の標準だ。
DTS音声も収録され、ハリウッド戦争映画なみの
効果が凄まじい。前半の人間ドラマの清々しい
雰囲気から戦場の泥沼をそれぞれ具体的に表現。
演出のせいもあるが、爆発シーンの音が大きく
やや「おどかし的」に感じてしまったのは残念。
Pライアンの「銃弾がそばをすぎる」感覚と
ブラックホーク…の「周りのあちこちで銃声が」
の中間的な感じのつくりだ。

画質は韓国映画では良い方で、序盤の淡い
色づかいも綺麗だし、夜のシーンもザラついた感じは少なく
先に公開された「シルミド」よりだいぶ良くなっている。
これはDVD製作の差か?


[バランスは悪いが魅力的]
この映画、見た目の過酷さのわりに
ストーリーはやや「出来過ぎ」だ。
偶然や展開の急さが多く、そこがドキュメンタリー
タッチの描写とバランスを欠いている。
だが、そのいびつなバランスが
人間ドラマの熱さと初々しさ、
主役2人の好演を引き立てていて
なんとも評価しにくい映画。
しかし、劇場では兄の方の気持ちに入ってしまい
何度も目から汗が…。
この独特なテイストは「韓国映画」特有のものかもしれない。

最後に、劇中では朝鮮戦争のぼっ発の原因や
そのバックボーン、年表的な説明はいっさいないので
ネット等であらかじめ知ってからみると
「なぜ同じ民族が殺しあったのか」「当時のそれぞれの
裏についた大国の意味は」などが分かって
より映画の理解につながると思う。
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by suzuki-ri | 2004-11-06 08:39 | DVD・ホームシアター | Comments(0)

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