人気ブログランキング | 話題のタグを見る

DVD・ホームシアター

深作「ヤクザ」の美学。

世の中いわゆる「ヤクザ映画」と言われるものはあまたある。
が、東映の「実録」路線で、そのジャンルの代名詞になっている
本作は深作のヤクザというものの捉え方がよく出ている。

仁義なき戦いー広島死闘篇ー
[深作のスタンス]
最初に言ってしまうと「深作の描くヤクザは酷く格好悪い」
ヤクザ映画のいわゆる「格好よさ」は私は感じない。
一般に思い出されるヤクザ映画の格好よさって
「任侠映画」の事じゃないだろうか?
鶴田浩二や健さんの任侠映画は確かに格好いい。
昔、池袋文芸座で始発までの時間潰しで見たのだが
客席から「かけ声」があがるのだ。
「ケンさん。そいつを叩き切ってくれ!」「いっちゃダメだよ」
と、まるで歌舞伎みたいだ。
そして、えらく登場人物は「真人間」だ。
ある意味一般人より、立派な人格者なのである。
それで悪党をバッタバッタ叩き切るのだから
そりゃ格好いいよ。

しかし深作の描く人々はえらく人間臭くてブザマだ。
殴り込みに行こう!と声かければ、皆モゴモゴと
「最近身体が痛い」「子供ができてのう」「わしは行ってもいいじゃがのう」
と誰一人立ち上がろうとしない。殴られ、蹴られ
血だらけになり、泥だらけ。ツバを飛ばしながら
「ブチ殺しちゃるけぇのう」と叫びまくる。
深作のヤクザは「ずる賢く」「狂犬」「ヘタレ」…と
おおよそ格好いいものではない。

それは深作の一貫したスタンスだと思う。
「格好いいものではない」という至極まともな答えだと。
しかしその格好悪さが、見るものを引き込むのだ。


[ソフトは…]
LDとDVDの数本を持っているが、シネスコLBで
画質は良くない。もともとブローアップしたシーンも
多いので「高画質」なハズはないのだが、それでも
テロップは滲み、暗部はツブれ、解像度は高くない。

で、最近になって北米で「仁義…」がDVDで発売された。
これが国内版より画質がいい。あのウソっぽい血液の色や
「バキューン」という東映サウンドも、国内よりいいのだ。
なんで?東映さん。自社の名作を大切にしてよ…。

LD等に収録の1〜5作の予告編が格好いい。
編集が絶妙なのだ。特に1は本編ではカットされた
殴り込みシーンなど、未収録シーンが多く面白い。


[勝利最高!]
私はキレた時「勝利(カツトシ)になっちゃますよ」
あの千葉真一の演じる「狂犬博徒」は
シリーズ中でも異彩を放つ。このボンクラの
「ヤツラは何でメシ喰うてるの?淫売じゃないの。
 言うならばオ*コの汁でメシ喰うてるようなもんじゃないの?」
は名ゼリフだ。(地上波じゃ放送できんな…)

海に放り込まれ、島でぶら下げられ
ピストルの試し撃ちのマトにされる「川谷拓三」が
本当に可愛そう。本当にリンチあってるとしか見えないよ。


[まとめて見ない方がいい]
この映画。主要人物の数人以外は
何度も死んだり、生き返ったり
キャラが変わったりとややこしい。
梅宮タっちゃんはマユそったり
マツカタなんか3度違うキャラだ。
なので、名画座で5本一挙上映なんか見ると
混乱する事必死。1日1本にしましょう。
名前
URL
削除用パスワード
by suzuki-ri | 2004-12-04 20:41 | DVD・ホームシアター | Comments(0)

リドリー・スコットを中心に映画やBlu-ray、ZZ-R(休み)などページです。 FBでリドリー・スコット作品の海外・国内で購入できるBlu-rayを沢山紹介した「Ridley Scott作品のBlu-ray」もやってます。


by suzuki-ri
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31